【お客様インタビュー】半年で残業時間を2,000時間削減!職員の自律心を育て自走する組織に導く「やる気スイッチON」の戦略
担当コンサルタントが聞く
医療・介護グループでのコンサル活用のポイント
- 介護福祉施設
- 収益向上・経営改善
- 101人~300人
従業慢性的な業務過多を乗り越え、自走する組織へ。小さな成功体験の積み重ねで職員の意識を変革
2022年から約3年にわたり、県民厚生会様の人事制度の見直しや教育制度の整備、生産性向上に向けた取り組みをサポートいたしました。2023年上半期の時点で、残業時間は前年同期比で約2,000時間削減することに成功。その後、2024年から本格的に業務効率化を進め、職員の意識の変化はサービスの質向上にも表れています。施設長と事務局長の4名様に、これまでの成果や活動を振り返って感じることについて、担当コンサルタントの岩本が伺いました。

事業者名:県民厚生会
所在地(都道府県):静岡県
事業内容:介護福祉施設の運営 (特別養護老人ホーム、ショートステイ、通所介護、グループホーム、訪問介護、居宅介護支援)
従業員数:約250名
URL:https://www.morotani-dc.jp/
●課題
・安定的な収益確保と職場環境の改善を図るために、生産性を向上させたい
● 解決策(支援内容)
・人事制度、教育制度の見直し・整備、ケアの標準化を図るための基準書(ケアマニュアル)の作成を支援
・5S活動(※1)を徹底することで生産性向上と介護サービスの質の向上を目指す
● 成果
・職員の意識改革により、残業時間が大幅に減少した
・務効率化によりサービスの質が向上。ご利用者様の自立を促し、よりいきいきと生活していただけるようになった
・職員の自律心が養われ、主体的に動く組織風土が形成された
コンサル導入の経緯と支援内容
小さな成功体験を積み重ね、職員の意識を変える
日本経営 岩本(以下、岩本):この度はインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございます。さっそくですが、コンサルタントに相談しようと思ったきっかけを教えてください。
県民厚生会 理事長/きらら富士施設長 望月様(以下、望月):経営をひっ迫するほどではないものの、法人の安定的な収益確保に課題があったこと、慢性的な人材不足によって現場の業務過多が常態化していたことが主な理由です。これまで自前で立て直しを行っていましたが、やはり専門家の方に経営状況を見ていただき、各事業所の強みと弱みを整理して、私たちに合った対策を確実に実行していくことが必要だと思いました。
コンサルティング会社を調べていく中で、最も気になったのが日本経営さんです。同じ時期に、事務局長が銀行の方から日本経営さんを紹介していただき、ご相談に至りました。
岩本:ありがとうございます。ご依頼いただいてからは私を含む複数人のチームで支援いたしました。業務効率化を3カ年計画、黒字化を5カ年計画として進め、第一弾の3カ年計画では制度の整備・運用とPDCAの定着に取り組みました。スタートして3年が経ちましたが、印象に残る取り組みはありましたか?
県民厚生会 理事/きらら藤枝施設長 阿部様(以下、阿部):具体的な取り組みの前に、事業所ごとにオリジナルの基準書を作成し、職員みんなが共通認識を持ってスタートできたことが非常に良かったと感じています。意見が割れたりゴールを見失いそうになったりしたときも、基準書があると原点に立ち返ることができます。施設長としては、世代を超えて受け継がれるものにしていきたいと思うほどです。
また、基準書は教育の場面でも役立っています。現在も外国人の介護職員さんに活躍していただいていますが、今後も日本経営さんにアドバイスをいただきながら外国人材を採用していく方針ですので、様々な場面で活用していきたいです。
岩本:担当コンサルタントとしても、皆様の努力で良いものができたと感じています。次のステップでは業務を整理し、5S活動(※1)を中心に業務改善に取り組んできましたが、この過程ではいかがでしょうか?
県民厚生会 理事/きらら浜松施設長 鈴木様(以下、鈴木):5S活動の推進はプロジェクトメンバーで決めたことですが、浜松に関しては比較的整理・整頓ができていたため、実は5S活動を中心に進めていくことに不安がありました。この気持ちを岩本さんにお話ししたら「5S活動で簡単なことから始め、小さな成功体験を積むことで職員さんの意識が変わります。意識が変われば、必ず次につながりますから」とアドバイスをいただきました。
これまで難しく考えていましたが、取り組みやすいことから始めることが大切な一歩なんだと気がついて、気持ちも楽になりました。

県民厚生会 理事/きらら藤枝施設長 阿部様
県民厚生会 理事/きらら浜松施設長 鈴木様
望月:5S活動によって、情報を共有して助け合うことの重要性に職員が気づけたことも大きかったです。職場に活気が生まれ、それがご利用者様にも伝わり、笑顔が増え、職員のやりがいにつながる。そんな好循環が生まれました。
阿部:ICT活用と自立支援介護に特徴のある他法人様の施設見学や、科学的介護や自立支援介護について学ぶ「QM CAFÉ(※2)」や「J CAFÉ(※3)」など、たくさんの学びの場を提供してくださったことにも感謝しています。
鈴木:特に自立支援に関しては職員一人ひとりが真摯に向き合い、自主的に考えるきっかけになりましたし、オンラインコミュニティでは専門家から直接アドバイスをいただくことができて、職員からも「安心できた」という声が届いています。
※1 5S活動:「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字をとった職場改善を目的とした活動のこと。
※2 QM CAFÉ:日本経営が主催する科学的介護(クオリティ・マネジメント)について学べるオンラインコミュニティ。介護現場のリーダーや管理職を対象に月1回開催。
※3 J CAFÉ:日本経営が主催する自立支援介護への取り組みをバックアップするオンラインコミュニティ。介護現場のリーダーや管理職を対象に月1回開催。
コンサル活用の成果
半年間でトータル2,000時間の残業時間を削減
岩本:具体的にはどのような成果がありましたか?
県民厚生会 事務局長 築山様(以下、築山):目に見えてわかる成果は残業時間の減少です。日本経営さんにサポートしてもらうようになってから約1年後の2023年度の上半期は、全事業所でトータル2,000時間の残業時間を削減できました。残業が減ったということは生産性が向上した証です。5S活動はもちろん、日本経営さんが各事業所の収益構造を職員たちにきちんと説明してくれたことも大きかったと思います。

岩本:非常に大きな成果ですよね!現場での実感はいかがですか?
望月:きらら富士では小さな積み重ねが大きな成果につながったと感じています。たとえば、フロアの掃除が終わっていないために、本来帰れる職員が帰れないことがあり、その改善方法を検討しました。
これまで通り掃除機か、使い捨てシートタイプのモップか、業者さんのモップをリースするか。掃除のしやすさとコストの面から1ヶ月間調査をして、最も良い方法を選択しました。これにより、2人で終わらなかったことが1人で完結できるようになり時間外にやっていた業務を日中にできるようになりました。この成功が次の行動につながります。掃除をするのに物があると邪魔だから片付けよう、片付けるのに毎回違う場所に置くと探すのが大変だから、物にはちゃんと住所をつけて管理しよう、といった具合です。


岩本:小さな成功体験がさまざまな場面に発展していったところが素晴らしいです。
阿部:きらら藤枝では業務効率とリスク管理の視点から、ショートステイにおけるバイタル情報が、自動的に介護記録媒体へ転送されるシステムを導入しました。これにより、手書きによる記入ミスがなくなり、ご利用者様の人数によりますが、1日最大50分もの時間短縮ができました。時間に余裕が生まれたことでご利用者様との会話が増え、「5Sコンテスト」では最優秀賞を受賞しました。


岩本:コンテストの取り組みも素晴らしかったですね。職員のモチベーションを向上させた好例だと思います。5S活動によって業務効率と自立支援の両方を実現されたことも、お見事です!
鈴木:きらら浜松では5S活動で物の場所を明確にしたことで、デイサービスやグループホームのご利用者様の行動範囲が広がりました。たとえばご利用者様が塗り絵をやりたいと思ったときに、ご自身で道具を取りに行くといった場面を多く見られるようになりました。
要介護状態の重度化防止や自立支援は一番大事なところだと思っています。「自分たちができるところから背伸びをせずにやっていこう」と決めていましたし、法人内の他施設の活動にも刺激を受け、士気が上がったのも大きかったです。


阿部:業務改善プロジェクトの発足に伴い、毎月3施設の代表メンバーが集まるようになり、法人内で切磋琢磨する文化が生まれましたよね。
岩本:基準書作成や5S活動で土台を築き、2025年度は「A3戦略(※4)」などを使って、もう一歩先を見据えた活動に取り組んでおられますが、現在の状況はいかがですか?
望月:昨年度までは施設長がサポートに入ることも多かったですが、今年度から始めたA3戦略に関しては、職員たちが自主的に進め、私は報告を受けるぐらいになっています。
岩本さんたちにも直接見てもらい、フィードバックを受けて改善し、実行して次の目標を立てるという流れが生まれています。。これによって実際に、デイサービスの新規利用者様が増え、職員のやる気につながっています。
鈴木:岩本さんたちが、要所要所で職員と話してくださることが非常にありがたいです。浜松ではA3戦略の最中にデイサービスの数字ががくんと落ちてしまったことがあり、担当管理者はかなり落ち込んでいましたが、岩本さんたちと話すことで自信を取り戻し、おかげで今月は目標を達成することができました。
岩本:よかったです!A3戦略の取り組みから、管理者やリーダークラスの方々が経営的なところにも踏み込んで活動されている印象を受けますが、その点はいかがですか?
築山:日本経営さんにご協力いただいて、膨らむ一方だった人件費については一定の目処がつきました。ただ、事業というのは収支のバランスで成り立つものですから、収入の部分にどう向き合うかという課題は残っています。
介護保険収入による部分が大きいですから、なかなか難しいところはあります。それでも売上の構成とそれに対する費用について、もっと意識を高めることが、生き残るためには必要です。
阿部:命を預かる仕事ですから、すべてに効率を求めてしまうと、ご利用者様に不利なことになってしまう。一方で、効率よく運営しないと施設を継続できない。やはり管理者がどこまで危機感を持ち、現場と経営の両立を図っていくかが、この3年間で教わったことの総括だと感じています。
※4 A3戦略:トヨタの生産方式で使われる、課題の背景から目標・対策までをA3用紙1枚で整理して思考するためのツール。現場の改善と戦略をつなぐ役割を持つもの。A3用紙1枚で戦略を整理するため「A3戦略」と呼んでいる。リーン手法に基づく日本経営のサービスのひとつ。
コンサル活用のポイント
専門的助言と寄り添う力が、やる気スイッチをONにする
岩本:最後に、コンサルを活用する利点や成功の秘訣はどの点にあると思われますか?
望月:各施設の状況を他法人の施設との比較も踏まえて具体的に示してくださり、職員の興味を引き出してくれたことが、すべての活動の根源になっています。これは私たちにはできないことでした。
そして、施設の状況や職員の人柄を踏まえ、できることからやりましょうと、やさしく背中を押してくださったこと。これによって成功体験が積み上がり、職員の自律心につながりました。
阿部:日本経営さんのおかげで、職員一人ひとりのやる気スイッチを入れていけたことが、成果を上げられたポイントだと思います。2年かけて土台を作り、3年目に成果を上げ、それを当たり前にしていこうという流れが、県民厚生会に合っていたんだと思います。
全職員で取り組んできたことなので、次のリーダーたちも成長しています。まだまだ課題はありますが、未来は明るいですよ。
鈴木:私は、一緒に考え、伴走してくださったことが本当に心強かったです。日本経営さんが心の支えになってくれました。
望月:職員をマネジメントする際に、わからないときに相談に乗ってくださり、それで気持ちがリセットされ、職員に伝え続けることができたと考えています。日本経営さんに巡り会えたことがうれしく、感謝しかありません。本当にありがとうございました。
岩本:こちらこそ、本日は、ありがとうございました!

3年間のご支援を通じて、県民厚生会様の「職員の力を信じる姿勢」と「一歩ずつ着実に変化を積み重ねる力」に深く感銘を受けました。
どんなときも前向きに取り組まれる皆様の姿勢が、成果を生み、組織を育ててこられたのだと思います。今後も、それぞれの現場で職員の皆様が輝き続けることを心より応援しています。
職員の意欲と生産性向上が不可欠な介護経営において、組織風土の改革は内部の力だけでは難しいことがあります。
弊社は、業界の専門性と現場に寄り添った丁寧な支援で、小さな成功体験を積み重ね、職員の自律心を引き出し自走する強い組織へと導きます。





